12日の、「ファストストフード世界同時アクション」東京実行委員会の記者会見での発言(要旨)をご紹介します。
◆雨宮 処凛(作家)
今回の世界同時アクションが、アメリカ労組の呼びかけで、世界中の様々な国のファストフード労働者が多国籍企業に対する行動であるという点に可能性を感じました。
ファストフード店に限らず、低賃金の問題は、一国の労働者だけじゃなく、世界中の貧困層が連帯しないと、打ち崩せない大きな壁があると思うからです。
その意味で、様々な国の非正規労働者や、低賃金労働者が連帯して変えていくことが非常に重要で、そこが今回の運動に関わろうと思った理由です。
そもそも、日本の最低賃金は低すぎます。2010年に、政労使で合意した「雇用戦略対話」は、2020年までに最賃を全国平均1000円に引き上げるとしていました。
この達成には、最低賃金が毎年36円、上げられる必要があります。しかし実際は、全くそのラインには達せず、このままだと絶対に2020年に最低賃金が1000円にはなりません。
ですから今回は、最低賃金を上げていく運動に、非常に意義があるものです。
◆加瀬 純二(下町ユニオン事務局長)
最初、アメリカのSEIU(全米サービス業従業員組合)担当者、ニコラスさんが私たちの事務所に来られ、この世界同時アクション、直接話を聞く機会がありました。
彼からの話では、現在、ファストフード労働者がアメリカ国内に400万人もいます。これまではの自動車産業のような、中流を形成した労働者環境が変わって、21世紀に、アメリカで最大の雇用はファストフードに代表されるような産業が生み出しています。
そこでは、多国籍企業、大企業、経営者が莫大な利益を上げているのに、労働者は、とても暮していけないような賃金で働いており、「フードスタンプ」という食糧支援制度を受けながら働くワーキングプアーが増えています。
これは決してアメリカだけではなく、日本でも、あるいはヨーロッパ、アジア各国、ラテンアメリカでも同じ状態にあります。
そこで、彼らSEIUでは、今回、世界35か国に呼びかけ、5月15日の一斉行動をやることを提起したということに、私も非常に共感しました。
日本もアメリカと同じような超格差社会になりつつあります。非正規労働者は今や4割を占め、年収200万円に満たない層が1200万人、と言われています。
最低賃金の平均は764円です。この賃金で年間所定内労働時間(フルタイム)の1860時間働いたとしても、年収はわずか142万円です。
しかも、この金額には税金も、社会保険料も入っていません。それらを取られたら、手取りはいくらになるのか、ということです。決して暮らしていけません。
アメリカは超格差社会と言われていますが、日本も同じように格差が広がり、雇用は壊れています。
だから今回、「ファストフード労働者の権利を尊重し公正な賃金を!」という統一スローガンが呼びかけている、ファストフード労働者というのは、象徴なのだと思います。
他にも多くの非正規労働者が安い賃金で働いています。しかも雇用は不安定でいつクビになるかわかりません。ファストフード労働者の公正な賃金を、というのは、非正規労働者全体のものだと私たちは思います。
5月15日の全世界、それも35か国が一斉に動くということは、これまでに聞いたことがありませんし、本当に大きなできごとだと思います。
日本でも、これは最初の一歩ですが、大きな一歩としたいと思っています。
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