東京実行委員会は、15日の行動について、記者会見を行いました。その要旨を紹介します。
「すき家」の従業員の方から、この行動に賛同し、発言をしていただきました。
■4月15日の世界同時アクションについて
河添 誠(ファストフード世界行動・東京実行委員会事務局)
まず今回のアクションは、アメリカでファストフード労働者、それからウォルマート、GAP、大手小売の店で低賃金の労働者がストライキ、デモンストレーション等を大きく展開することによって最低賃金を大きく上げる、ということがニュースになっています。
この運動は全米で最低賃金時給15ドルを要求して展開しています。オバマ政権も連邦最低賃金引き上げの計画を発表しています。時給7.25ドルが今の連邦最賃ですが、この数字を10.1ドルにするということを目標に、民主党、オバマ政権が宣言しています
アメリカの様々な州でも、時給10ドルを超える州の最低賃金の導入も決定しています。アメリカのマクドナルドCEOは全米のマクドナルド従業員の企業内最低賃金を、時給10.1ドルにすると決定しています。
ファストフード労働者が小売大手のウォルマートやギャップの賃金が労働市場の最低賃金になっているという事実があり、一方多国籍資本が多額の利益を得ている。これはピケティではないですが、公正さを欠く、ということでファストフード労働者や小売業の労働者に公正な賃金を保障する、格差を縮小していくんだという運動が、アメリカを中心に多く展開されているのです。
昨年2014年の5月15日に全世界の同時アクションが呼びかけられまして、世界全米158都市、世界36カ国、93都市で行動が取り組まれました。日本でも以下(会見資料参照)に記載してある都市で展開されましたが、全世界でも36カ国で行動が取り組まれています。
今回の、4月15日の行動も昨年に続いて全世界で呼びかけられています。全世界で35カ国以上の取り組みが行われるのではないか、と言われています。
●日本のファストフード労働者の現実
さて、日本のファストフード労働者がどのような賃金水準で労働条件かということについて具体的には後ほど『すき家』の方からお話いただきますが、概略説明させていただきます。
まず、事例として、マクドナルドのパート労働者の賃金がどの程度か、昨日私がネットで調べて参りました。都心部、渋谷の近辺ですが調べてみると、大体時給950円~1000円で求人が出ています。東京の最低賃金は地域別最賃が時給888円ですので、それより少し高い程度が都心の数字です。
時給1000円でフルタイムで計算してみると、所定内労働時間が1860時間なので、年収が186万円という数字になります。時給1000円、というと一見高そうに見えますがフルタイムで働いても年収186万円にしかなりません。貧困状態だということが明らかだと思います。
都心部は比較的賃金が高いですが、さいたま市で調べるとどうなるかというと一気に下がり、時給810円~850円。これは地域別最賃が埼玉県は802円なので、それに貼りつくような賃金です。フルタイムで働いた場合、850円で計算すると年収が158万1000円。東京で働くよりも更に低い水準です。
人手不足でパート・アルバイトの賃金が上昇しているというのが巷間言われていますが、実際はこの程度であり、フルタイムでもワーキング・プア、まさしく貧困状態にあるというのがファストフード労働者の多くの働き方です。
これは、ファストフードに限らず、コンビニで働くなどの、パート・アルバイトの賃金というのはこのような賃金水準だということです。そう意味でパート・アルバイトの大幅賃上げ上げというのは不可欠だというのが日本の状況から言えると思います。
●ファストフード経営者報酬は労働者の100倍以上
では一方、そのようなパート・アルバイト労働者を雇用し、企業経営している経営者の収入というのはどの程度か一例を挙げます。日本マクドナルドHDを先月25日に退任した原田氏の2014年の役員報酬と退職慰労金の総額は、これは報道されている数字ですが、3億3900万円です。内訳は役員報酬が1億6900万円、日本マクドナルドHDの退職慰労金が8400万円で、合算すると3億3900万円という、退職時に貰っている巨額のお金があるようです。
ついでに言うと、原田氏はこれと併せてベネッセの役員も兼務されておりますので、ベネッセの方からどれだけの収入があるのかわかりませんが、大変な所得を得ているわけです。同時に彼はマクドナルドの株式を相当数持っていますので、そこからの収入も巨額なものがあるわけです。
マクドナルドのサラ・カサノバ社長も、昨年、2014年の報酬総額が1億700万円という報道があり、大変な報酬を役員の方は得ています。単純計算でファストフードのアルバイト労働者の100倍、それ以上の報酬を経営者は得ている。これは公正なのだろうか、と私たちは訴えたい。格差を拡大・固定させている、と。
役員報酬は高すぎるし、パート・アルバイトの従業員の賃金は低すぎるというのは、ここから明らかではないか、と考えています。
●「時給1500円」は最低限の水準
そこで私達は今回の要求として、『時給1500円』というスローガンを掲げています。これはフルタイム労働者の所定内労働時間によると1860時間なので、1500円×1860時間をかけると年収額面が279万円になります。
時給1500円というと今の最低賃金、パート・アルバイトの賃金相場があまりにも低いため1500円というと破格のように一見見えるのですが、実際にフルタイムで働いた数字を出してみると279万円にしかならない。この279万円を要求するというのは、きわめてささやかな人間らしい生活をするために最低限必要な年収ではないか、と私達は考えています。このことを社会的に訴えたいと考えています。
ここで実際にファストフードで働いておられる方が、どのような働き方の実態なのかということを『すき家』で働いておられる方からお話伺いたいと思います。
【牛丼チェーンの『すき家』パート従業員
(38歳・男性)】
私、現在『すき家』でパートを約一年まではいっていないですが勤めています。やはり1000円の時給で働くとなると他にも仕事を掛け持ちしないといけないですし、また仕事を掛け持ってやるということは体にも負担がかかります。また仲間の中にも、ダブルワーク、トリプルワークという中で働いてる人間が数多くいる中で、やはり体を壊し、また隠しながら働いて、ぼろぼろになっていく人間も何人か見ています。
また、私達お給料を貰って働いている人間というのはそこに依存して働かなくてはいけない状況にあり、立場的にも非常に弱いです。税金・健康保険料など払うと住む所も限られるという状況に追い込まれています。 1500円という時給は、私達の生活がこれで素晴らしく豊かになる、というわけではありませんが、このくらいなければ人としての生活が成り立たないというのも現状ではあります。
■15日、15:00~「時給¥1500」を掲げて
渋谷で行動
神部紅(首都圏青年ユニオン委員長、東京実行委員会事務局)
次に、今回の行動の具体的な計画、よびかけについてです。
「4月15日という告知はさせていただいていますが、3時から開催したいと考えています。
世界統一のスローガンは
『ファストフード労働者の権利を尊重し公正な賃金を!』
(Fair Pay.Respect.For All Fast Food
Workers.) です。
日本ではすでに準備がされている都市もあると聞いています。具体的に聞いているのは大阪で実行委員会がもたれて準備されているほか、他の都市でも準備をしているそうです。ただ、東京実行委員会が取りまとめをしているわけではないので、自主的に各都市でいろんな労働者が立ち上がる予定であるということです。
東京の独自のスローガンですが、
『時¥1500これが常識。』
『働きすぎはもう終わりだ。』
これは、いうマクドナルドのキャンペーンのスローガンに少しかけているというスローガンですね。時給1500円と共に長時間労働をやめさせようという趣旨のスローガンにしました。また、定額働かせ放題、残業代ゼロ法案。こういったものが出ていることを私達は大変危惧しています。働かせすぎ、長時間過密労働で低賃金。こういった労働者がこれ以上に増えるということに対して、非常に危機感を覚えています。
正社員でも労働時間で割ると最低賃金を割り込んでいる、そのような労働者が若い人を中心に、アメリカや世界各国でもそうですが日本でも広がっています。
まともな生活が出来るような賃金にするべきではないのか、というスローガンを渋谷で掲げたいと考えています。
●15日の行動計画、全国へのよびかけ
15日には、午後3時、渋谷のセンター街の入り口に集合し、付近でのパフォーマンスを予定しています。その後ハチ公口戻り、ハチ公口でアピール行動をしたいと考えています。
これは全世界で共通の物です。誰でも参加できる行動として、日本でも行動しようと呼びかけています。
◆この日時間はバラバラでも構わないのですが、多くのファストフード店の前でプラカードやスローガンを掲げてほしい。
◆それらの写真や動画を撮って送ってほしい。それを全世界で共有しよう、と言うことです。
#FastFoodGlobal #Tokyo #fightfor15
この世界アクションの共通ハッシュタグを付して、SNSで発信してください
◆だれでも参加できます。
◆労働組合に加入し、自らの権利を勝ち取る行動に踏み出してほしい。
また、4月18日(土)に渋谷でアースデー(パレード)が行われるが、こちらにも参加する予定です。